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  • 執筆者の写真nishida

防風林について



「大型台風の接近に伴う強風高波に十分気を付けてください」

伊勢湾台風やジェーン台風、室戸台風など数多と甚災経験した結果、今日まで様々な台風対策が取られてきたわけですが。今なお台風が接近してくると、土砂災害や洪水、建物の損壊など警戒しなければならない状態は続いています。

中でも私たちは風倒木についてお客様からご相談いただく事は多いのですが。そうした木々の多くは往々にして知らないうちに大きくなっていたというご相談が多いように思います。大体は切った方が良い場合が多いのですが。私どもの考えとしましては、木が身近にある事で得られるランドスケープの大事さをお伝えしてゆく立場でもあります。 そこで、今回は「防風林」に着目してみました。

以下のリンクは農林水産省が防風林についてまとめたものです。 https://www.maff.go.jp/j/nousin/kanri/tamen_siharai/nouson_furusato_hozen/H30/pdf/bouhurin.pdf


農地を守るという事にフォーカスされているわけですが、カエデ類なんかは倒木しているところをあまり見ないように思います。枝は折れるかもしれませんが秋の色どりも美しいの採用したいところです。


京都の街中だとアラカシやポプラはよくみかけます。

特にポプラは校庭に植わっていたりしてますが、最近だと樹高が高いことが敬遠されて半分に断幹されている個体群も見ます。やはり倒木するのでしょうか?ちなみに、ロシアではポプラが暴風対策で町中に植栽されていて高層の集合住宅を極寒期のブリザードから守っていますが、綿毛の量がすさまじく毛布も干せない事から最近では切られていたります。

街中のアラカシも倒木しにくい樹種かもしれません。結構開口空洞していても案外倒れずに残っていますが、これも樹高との関連はあると思います。


さて、海外のブログでも防風林について書かれたサイトがあったのでご紹介します。

アメリカのウィスコンシン州でのお話のようなのですが、ウメやサクランボなど防風林の中に植える提案は面白ですよね。

https://www.hobbyfarms.com/how-to-use-trees-for-a-windbreak-on-the-farm/?fbclid=IwAR3AMFLnpbbT_oJX07vADODHey_6joA3oP3wRcclV00pkwj9sA_BsOhopcA ------------------------------------------------------------ 農場で樹木を防風林として利用する方法

 防風のために木を利用するのは農場に多くのメリットがある。しかし、やり始めるにはいく

つかのポイントを押さえなければいけない。

ウィスコンシン州北部に位置する私の農場では多くの並木が毎年冬に吹き付ける寒く厳しい風

から建物を守ってくれている。アカマツ、ヨーロッパアカマツ、そしてオウシュウトウヒは庭

の北側から西側に沿って強固に組み合わさっている。年輪を見てみると最も古い木々は1940

年代に植えられたことが分かる。私は彼らの効果的な働きを証言することができる。雪の降る

冬の間、厳しい風が畑を渡ってきて、何もかも吹き飛ばしてしまう。そんな状況の時に一度開

けた畑にでてごらん。あなたはきっとすぐに引き返したくなるだろう。

 しかし、防風林の下では実際風はとても穏やかだ。このように農場で快適な環境を創造する

ことは、よく配置・設計された防風林によってしか得られないメリットだ。

 もしあなたの農場がすでに暴風から守られた低地にあったり、通年穏やかな気候を維持する

水源の近くにあるのならば、広大な防風林の植樹は必要ないだろう。簡易な防風林によって浸

食や積雪から農作物を守るだけでよい。しかしながら、あなたの農場が、突風が吹き付け、積

雪がひどい高地にあるのならば、きちんと植えられた防風林は土壌から建物まですべてを守り

、減災のための労力や費用を抑え、さらには景観向上をもたらす。

メリットを生み出す

適切にデザインされた防風林は農場の気候を劇的に変え、結果的に多くの利益をもたらす。正

しくデザインすると防風林は以下の効果を発揮する。

①冷暖房コストの削減

もし冷たい風から建物を守れたら、暖房設備のコストを節約することができる。同様に暑く乾

燥する夏にも、冷房にかかる費用を抑えることができる。

②畑や果樹園を守る

安定した風は、土壌からの水の蒸発を加速させ、葉の蒸散を増加させる。防風林は水を節

約し、植物の水ストレスを軽減するのに役立つ。トマトからリンゴの木に至るまで、あら

ゆる植物は、常時吹く風に対して自分自身を保持する労力が必用でなければ、より速く、

まっすぐに成長する。さらに、花は保護され、ポリネーターは風が減少するとより活発に

活動する。これは、作物の収量増加につながる。

③雪と侵食のコントロールを向上させる

冬には、強風はすぐに雪の中に形成された道をかき消す。夏には、風が表土を吹き飛ばし

たり、砂地を拡大させる可能性がある。防風林は、これらの問題を制御するのに役立つ。

④雪を畑全体に分散させる

建物や家畜を守るために設計されたものほど高密度ではない防風林は、春の雪解けの際、

農場全体に雪を均一に分布させるのに役立つ。

⑤防音・防臭


防風林によって防げるのは風だけではない。車や近隣からの騒音も防ぐことができる。悪

臭も同じように減少する。運が良ければあなたの家から40m離れた堆肥場の臭いを防ぐこ

とができる。

⑥家畜の避難場所

冬の風が厳しいと人が感じるとき、動物も同じように厳しく感じている。厚く、効果的な

防風林は家畜にとっても喜ばしいものだろう。生存に適した温かい環境により、飼料の量

も減らせるかもしれない。

⑦プライバシー保護

道や敷地沿いに植えられた防風林は視覚を遮断し、プライバシーを保護する。

⑧野生動物を惹きつける

鳥はしばしば防風林に営巣する。バードウォッチングの楽しみが増すのに加え、鳥たちは

虫を捕食し、害虫の数を制御するのに役立つ。タカやワシのような高次捕食者は高木にと

どまり、げっ歯類の個体数調整に役立つ。

⑨景観向上

丁寧に植樹された防風林は、一直線に並び雄大な景観となる。ライラックやハナミズキの

ような風上に植えられた低木は花や葉の美しさにより、一層景観を引き立てる。

植樹の位置

アメリカ合衆国では通常北と北西から強い風が吹く。なので、あなたが暴風から守りたい

エリアの北側と西側に防風林をつくることをお勧めする。

また防風林に雪が積もりがちなので、防風林と保護域の間に一定の間隔を空けるとよい。

少なくとも50フィートは見積もった方が良い。十分な空間があるのならば、100フィート

取れると好ましい。

 防風林と農場の保護域が離れていた方が良い別の理由としては、皮肉にも防風林が強風

により時折倒れることがあるからだ。

また防風林は保護域より最小でも50フィート長く拡張すべきだ。言い換えると、もしあな

たが農場の西部に位置する全長200フィートの果樹園を保護したいのならば、同じく全長

200フィートの防風林は無意味だということだ。

 その代わり、50フィート北に長く、50フィート南に長い総計300フィートの防風林を設

ければ、徹底的に保護効果を発揮する。

植える樹種のコツ

一般的にトウヒ、スギ、マツといった針葉樹はカエデやナラといった広葉樹よりも防風林

にふさわしい。

 多くの針葉樹は通年葉を保持する。そのため、針葉樹は冬に葉を落とす広葉樹よりも風

を防ぐことが可能だ。

 また針葉樹は成長が早い。成長の遅いカエデやホワイトオークなどの広葉樹よりも早く

防風林を形成することが出来る。ただ、雪を防ぎ、建物や家畜を守る6~8列の高密度の防


風林をつくる時は例外である。この場合は長寿命である広葉樹を真ん中の列に植えること

で、防風林を長持ちさせ、効率化を図ることができる。

 広葉樹はまた、雪をフィールドに均一に分散させるための一列または二列の防風林にも

適している。

最も良い防風林

最も良い防風林は細く円錐形に育つものだ。個々の木々の小さい占有面積は低い枝を覆う

ことなく、木を密に植えることを可能にする。

短い枝をつけ、円錐形に育つ細い木々は雪を降ろすのにも良い。それらはまた冬季の暴風

によるダメージを受ける可能性が低い。地域の気候も、選定して植えた木々に影響を及ぼ

すだろう。あなたの地域の最低気温の平均を確かめ、その地域の典型的な冬の気候で生存

できる樹種を見極めるために、植物の耐寒性マップを参照しよう。あなたの地域よりも一

段階寒い地域で耐寒性のある植物を選ぼう。そして地元の苗木薗からの調達はあなたの地

域にあった樹種を探すのに役立つだろう。また土壌も重要な要因だ。砂状の土は粘土状の

土と異なる種の木々の成長を促進する。そして土壌のpHも特定の樹種の成長に関与する。

土質のチェックによって、苗木売りもどの木が最適か答えることができる。最も普及して

いて人気のある、防風林樹種の選び方のガイドラインとして、以下の“針葉樹の選択”“落葉

樹の決定”を参照してほしい。

間隔の提案

個々の木の間隔を決定づけるためには、代数式が必用なように思われる。植樹する予定の

樹種と防風林の目的は理想的な間隔に影響を及ぼす。それでもいくつかの試金石が役に立

つ。とても開けた畑の防風林を除くすべての場所で一列の防風林は十分でない。2,3列が

最低限だ。6~8列だと寒い風や雪に対して強力で長期的な防風林となる。木は市松模様に

なるように奇数列の木の間に偶数列の木を植えるべきだ。これは防風効果を最大限にする

様々な樹種を植えることも防風効果を高め、特定の樹種への病気の影響を緩和する。もし

3列以上の木を植える場合は風上にハナミズキやライラック(太く、多くの幹をもつもの)

やウメやサクランボ(果実をつくる)などの低木を植えると良い。

これら低木による風上の列は内側の列より50フィート離すと“雪の罠”となる。つまり、他

の列への雪を減らすことが出来るのだ。

 目標が冷たい風と雪を制御することならば、内側に樹高が高い針葉樹を密に植えるべき

だ。しかしながら、3列以上植える場合は広葉樹と針葉樹を混交すべきだ。

間隔が狭い植栽

間隔が狭い植栽の一般的なガイドラインとしてクロベ属(ニオイヒバなど)は8~12フィー

トの間隔で成長でき、成長に必要な間隔が最小である。より大きな針葉樹(ストローブマ

ツやオウシュウトウヒなど)は15~25フィート必要である。なぜなら多くの針葉樹(ストロ

ーブマツやアカマツなど)の低い位置の枝は日が当たらなくなると死んでしまうからだ。


十分な間隔を取ることは最も低い枝の寿命を延ばすことができる。これは防風効果を高め

ることにつながる。列の間隔は同列の木の間隔と同じかそれ以上に空ける必要がある。中

くらいのサイズの木で15~20フィートの間隔が必用だ。特定の大きな樹種は25フィート

まで間隔を広げ、風上の木々と内側の列を分ける場合は10フィートまで縮めると良い(そ

うでないと雪の罠としての効果を発揮しない)。

手っ取り早く防風林の効果を得るために、木が若く細い間に木同士を近づけて植えると良

い。防風林の植樹は綿密な計画を要する。また防風林は成熟するのに多大な時間を必要と

するので、ただちに効果を実感することは出来ない。しかし、最初に行った時間と努力の

投資は最終的には何十年も厳しい風から農場を守り、多大な利益として戻ってくるのだ。

付録:落葉樹の決定

広葉樹の植栽は小規模な森林を模倣する必要がある。

クログルミ (Juglans nigra)

良質の木材を生産し、高木は食用ナッツを生産する。

ハコヤナギ (Populus sect. aigeiros)

ハコヤナギの仲間にはカロリナハコヤナギ(Populous deltoides)とフレモントコットンウ

ッド(Populous fremontii)がある。高木で成長が早い。アメリカ全土に分布している。

アメリカハナノキ (Acer rubrum)

人気のソフトメープルは様々な気候に適す。高木となり、秋には鮮やかな赤色の葉をつけ

る。

ナラ (Quercus)

ナラの仲間にはホワイトオークや (Quercus alba)アカガシワ(Quercus rubra)など何百種もの

品種が含まれる。一般的にアカガシワの仲間はホワイトオークの仲間より成長が早い。両

方の区分のいくつかのナラは常緑樹である。

シルバーメープル(Acer saccharinum)

早く成長するソフトメープルの一種である。湿度の高い気候にも適すが、枝は風、雪、氷

によるダメージを受けやすい。

付録:針葉樹の選択

針葉樹は同じ効果を得るために広葉樹ほど密接に植える必要はない。あなたの地域の気候

に応じて、適しているいくつかの針葉樹種があります。

コロラドトウヒ (Picea pungens)


この木は装飾品のような美しさから、よく植えられています。円錐形に成長し耐寒性があ

る。しかしながら、病害虫の影響を受けやすい。

ベイマツ (Pseudotsuga menziesii)

このとても高い木は、太平洋沿岸で野生の状態で300フィートを超えることがある。ダグ

ラスモミと小さく耐寒性のある近縁種であるダグラススギ(Pseudotsuga menziesii, var.

glauca)は良い防風林の構成種となるのに加え良質のクリスマスツリーを作ることが出来る

エンピツビャクシン(Juniperus virginiana)

この樹種は貧栄養土壌に強く、非常に細い円錐形となる。しかし、リンゴに錆を引き起こ

す菌類の宿主ともなるため、果樹園の近くに植えるべきではない。

クロベ(Thuja standishii/Thuja plicata hybrid)

成長速度が速く一年に3フィート伸長する。生垣や防風林への利用に人気がある。ゾーン5

以上の耐寒性はなく、温暖な気候には適す。

アカマツ (Pinus resinosa)

ノルウェーパインとしても知られる。成熟すると100フィートを超え、低い枝なしで高く

開けた樹冠を発達させる。


J. Keeler Johnson

木を剪定する情熱を持つ作家、農家、ブロガー、ビデオグラファー。彼はウィスコンシン

州北部の農場に住んでおり、100本以上のリンゴの木と、ずっと前に剪定されたはずの40

フィートの梨の木を世話している。


翻訳:長野文乃 ------------------------------------------------------------

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